〇参考となるWebサイト等

 

  • 「文章を書く際にはできるだけ、「事実を叙述する部分」と「事実を分析する部分」を分離するように構成し、また分離して書いてください。両者を一緒に記述すると読み辛いだけでなく、分析の基準も不明確になりがちです。執筆時の基礎的な技術です。」(木村幹)

 

 

 〇卒業論文における「参考文献」の記述方法

 

※学問分野や学会によって異なるため、以下は一例です。

 

【論文誌の場合】

著者名(出版年)「論文名」『論文誌名』第〇巻第〇号

宮嶋勝(1984)「地方公営バス事業の生産性に関する研究」『公益事業研究』第36巻第2号

 

【書籍の場合】

著者名(出版年)『書名』出版社名

堀部政男(1988)『プライバシーと高度情報化社会』岩波書店

 

【ネットに掲載されている文書の場合】

著者名(掲載年)「文書名」掲載ウェブページ名 URL

堀部政男(2014)「個人情報保護法の考え方」科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu1/shiryo/006/04080202/003.htm

〇卒業論文の本文に他者が作成した図・表・写真などを引用する方法

 

【ネット上の資料(データなど)を用いて自分で図表を作った場合】

図表の直下に次の文を入れる

出所:著者名(出版年)を基に筆者作成

「参考文献」に次の文を入れる

著者名(掲載年)「文章名」掲載ウェブページ名 URL

 

【図・表・写真をそのまま引用する場合】

図・表・写真の直下に次の文を入れる

出所:著者名(出版年)

出所:東日本旅客鉄道株式会社東京工事事務所(2006)

「参考文献」に次の文を入れる ※以下はネットに掲載されている文書の例

著者名(掲載年)「文書名」URL

東日本旅客鉄道株式会社東京事務所(2006)「建設プロジェクトを支える新技術」http://www.jreast.co.jp/newtech/tech06_main.html

 

○文中で参照文献を書き入れていく方法(例)

  • 浅羽祐樹 「日韓関係の遠近法」(SYNODOS, 2015.12.28)の以下の文章は、引用の仕方として、お手本になるものである。

 

  • 首脳会談だけでなく外相会談も開催できないという異常な事態が続き、相手に対する感情も下げとどまっていた(内閣府「外交に関する世論調査」)。さらに、その原因を互いに「反日」「右傾化」に帰せ、自らを省みようという姿勢に乏しい(言論NPO「第3回日韓共同世論調査結果」)

 

  • 40周年のときは、韓流・日流ブームの真っただ中で、日韓関係は今後、「体制共有」から「意識共有」へと進化していくと期待されていた(小此木政夫編『韓国における市民意識の動態』慶應義塾大学出版会、2005年)

 

  • しかし、そもそも民主主義には様々なパターン(アレンド・レイプハルト(粕谷祐子・菊池啓一訳)『民主主義対民主主義―多数決型とコンセンサス型の36カ国比較研究[原著第2版]』ミネルヴァ書房、2014年)があるし、さらに、民主主義だけで十分なのか、という疑問がある。

 

  • 民主主義だけでなく自由主義も、代議制民主主義体制に欠かせない基本的価値である。いくら民意を反映して権力を創出したとしても、権力相互間で牽制させることで均衡が保たれない限り、「多数派の専制」によって少数派の人権が侵害されかねない(待鳥聡史『代議制民主主義―「民意」と「政治家」を問い直す』中公新書、2015年)

 

  • 日本の場合、最高裁判所は国会の立法裁量を広く認め、法令の違憲審査に消極的であるが、「憲法の予定している司法権と立法権との関係」(最高裁「選挙無効請求事件/最大判平27.11.25」)は決して静態的なものではない。

 

  • 安倍首相としては、国交正常化時に日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」(第2条第1項)という従前の立場を堅持しつつ、「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去」(首相官邸「戦後70年総理談話」)について、アジア女性基金と同じように、「人道的見地」からは何らかの措置を改めてとることを表明したことになる。

 

  • 中国の抗日戦勝70周年軍事パレードに朴大統領が「西側」の首脳として唯一参加したことで、「レッドラインを越えた」という評価(たとえば鈴置高史・木村幹の対談「ルビコン河で溺れ、中国側に流れ着いた韓国」日経ビジネスオンライン)が一気に広まった。

 

  • 韓国政府は米韓首脳会談で「中国傾斜論を払拭できた」と自負している。しかし、オバマ大統領から「声を上げろ」(ホワイトハウス「米韓首脳会談後の共同記者会見」)とはっきりと要求された南シナ海問題で依然として中国を名指しせず、「航行の自由」と「紛争の平和的解決」という原則を繰り返すだけである。

 

  • この「韓米中」「安米経中(安保は米国、経済は中国)」という路線は、ここ3年間の朴政権下で一層鮮明になっていて、「安中(安保も中国)」「韓中米」に変わるのではないかというシミュレーションすら行われている(鈴置高史『朝鮮半島201Z年』日本経済新聞出版社、2010年;Sue Mi Terry, Unified Korea and the Future of the U.S.-South Korea Alliance, A CFR discussion paper, December 2015, Council on Foreign Relations)

 

  •  「日米韓」において「日韓」はかつて「擬似同盟(quasi-alliance)」や「事実上の同盟(virtual alliance)」とも評価されたが(ヴィクター・D・チャ(船橋洋一監訳・倉田秀也訳)『米日韓 反目を超えた提携』有斐閣、2003年;Ralph Cossa, “U.S.-Japan-Korea: Creating a Virtual Alliance,” PacNet, 47, 1999)、今や日本にとって「準同盟」はオーストラリアと言われている。

 

  •  「日中韓」はマルチの枠組みの中で制度化が低く(大庭三枝『重層的地域としてのアジア―対立と共存の構図』有斐閣、2014年)、「北朝鮮の核問題」についても一つの声を上げることができない。

 

 

  • 澤昭裕「福島のタブーに挑む 除染のやり過ぎを改める・2016年への提言」(2015年12月26日)に長文の引用例があり参考になる。段落と段落の間に1行空けている点を含めて参考にして欲しい。

 

 この点に関して、国際原子力機関(IAEA)は、「国際フォローアップミッション最終報告書」(14年1月)において、日本政府に対して次のような助言を行っている。

 

 「除染を実施している状況において、1~20mSv/年という範囲内のいかなるレベルの個人放射線量も許容しうるものであり、国際基準及び関連する国際組織、例えば、ICRP、IAEA、UNSCEAR及びWHOの勧告等に整合したものであるということについて、コミュニケーションの取組を強化することが日本の諸機関に推奨される。(中略)政府は、人々に1mSv/年の追加個人線量が長期の目標であり、例えば除染活動のみによって短期間に達成しうるものではないことを説明する更なる努力をなすべきである。段階的なアプローチがこの長期的な目標の達成に向けてとられるべきである。この戦略の便益については、生活環境の向上のために不可欠なインフラの復旧のために資源の再配分を可能としうる」

 

 この助言はこれまで重視されていないようだが、今後の除染のあり方や区域設定を検討する際、大きな拠り所となるものである。除染の合理化によって節約される財源は、インフラ整備や雇用・福祉関連施設の建設に充当できることも重要なポイントだ。

 

 

つい最近も、福島の国道6号線で行なわれた清掃ボランティア活動のイベントで、そうした団体が主催者に対し激しい抗議活動を行い、あろうことかそれを好意的に報じるメディアがあったことをWedge12月号が報じている。福島出身の社会学者、開沼博氏は、この問題を取り上げて、次のように書いている(2015年11月2日福島民友への寄稿)

 

「無理解と『福島=絶対危険という価値観以外認めない』というイデオロギーが背景に存在する。(中略)先鋭化する市民運動がなす誹謗中傷が直接的に、あるいはインターネットを介して被災者に向けられるのは、今回にとどまらない。農家など食べ物に関わる生業につく住民に『毒を作るな、売るな』と、避難から帰還した母親や県内の教育関係者に『子どもを傷つけるのか』『洗脳されている』といった言葉が向かう」

 

こうした勢力が跋扈し続けている問題の背景は、一般国民の放射線リスクや福島の現状についての情報や知識が十分ではないことにある。例えば、福島県の米は、15年産の玄米の全量全袋検査で、国が設定した世界各国で最も厳しい規制値(100ベクレル/kg)を超えるものは、一つも見つかっていないことをご存じだろうか(15年12月26日現在)。